時には辛いことも?ウェディングプランナーの生活
元ウェディングプランナー SATOMI
2019.03.16

ウエディングプランナーと言う名前のサラリーマン生活。
辛いこともあるのでご理解ください。
プランナーとして働くことの現実
以前のブログで「ウェディングはクレーム産業である」という風に書きました。
(過去の記事は以下から)

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華やかな影にも苦労あり。婚礼部門の裏事情とは
実際にその通りで、新郎新婦との打ち合わせの過程でクレームが生じることが多々あります。
「衣裳や花等のテナントスタッフや商品が気に入らない」
「プランナーがあまり積極的に提案をしてくれない」
「プランナーの説明不足で分かりにくい」
などを理由とした、プランナー自身へのクレームもあり「担当プランナーを違う人に替えてくれ」と言う要請が上司に行くこともあるのです。
式場としては、そんな事を理由に、新郎新婦に式の予約をキャンセルされてしまってりすると大変ですから慌てて担当者を変更します。
プランナーの立場で考えると、自分は悪くないと思うのに変更される時は誰であってもショックですよね。

大変なのは、クレームばかりではありません。
ウェディンプランナーの元には、カップルからメールや、ライン等で、式に対する問い合わせや要望がひっきりなしに送られて来ます。
問い合わせはプランナ―自身の知識では間に合わず、各方面に問い合わせないといけないものも多いが故に、手間も掛かってしまいます。
プランナーになる前に夢見ていた「一からのプランニング」や「クリエィティブな企画」というものは残念ながら、行えるチャンスが殆どありません。
プランナーは時に「夢と現実とのギャップ」に愕然としてしまうのです。
それでも健気なプランナーは新郎新婦の二人の言葉の中から数少ない「実施できそうなこと」を選んで、そこに全身全霊で打ち込んでいるのです。
- ウェディングはクレーム産業であり、日々そうしたクレームに対処しなければならない
- 夢見たウェディングプラン二ングや、クリエイティブな企画に携われないこともしばしば
結婚式当日のプランナーの動き

全ての打ち合わせが終わり、迎えた式当日。
結婚式が行われる土日というのは、はまるで会場全体が戦場のような雰囲気です。
自分が担当したカップルの挙式がある日も、プランナーには、朝から晩まで新規や他のカップルの打ち合わせが入っています。
時間を取って式を見にゆくこともままなりません。
それでも他のカップルとの打ち合わせの合間に、事務所のモニターで会場の様子を見ながら、披露宴前にお二人が宴会場に来られた頃を見計らっては、新郎新婦の元に、走って挨拶にゆくわけです。
当日までずっと新郎新婦に向き合ってきて、やっと二人のハレの日が見れると思ったら、式当日はそのような少ないチャンスしかないのです。

式が行われている合間は、プランナー自身は「式の際中に何のトラブルもないように終わる」ことを祈るのみ。
新規接客が終わって自身のデスクに戻ると『司会者が主賓の名前を間違えていて、後で新郎のお母さんから注意があった』というような内容の付箋が貼ってあることも珍しくありません。
そうなると会場に行って、サービスのキャプテンにこっそり雰囲気を聞いて、謝るタイミングを見計らうしかありません。
その後、なぜ「名前を間違える」といった過ちが起きたか、原因を究明する。
司会のミスを理由に新郎新婦から「司会料を払わない」と言われることや「一生に一度の場を台無しにされたので、式も披露宴費も一切払わない」と言われることもあります。
こうした事態を避ける為に全力でお詫びと説明に向かいます。
そして最後に社内で報告書の提出。もうクタクタです。

ところで、みなさんは、婚礼費が前払い(実際の式の前に支払われる)ことに関して疑問を感じたことはないですか。
婚礼では上述したようなトラブルが頻繁に起こってしまうので、先払いで料金を頂戴するという仕組みを取っているのです。
披露宴が終わるまでは、プランナーは本当に落ち着けないのですが、終わってからも変わりません。
ごく稀ですが、式当日の写真や映像が『撮れてなかった』なんて後日、判明したりすることもあります。
こうなるともう、奈落の底に落ちるパニックです(涙)。
- 当日の式では新郎新婦に付きっ切りになれることは無く、式を見守るだけのことが多い
- クレームが発生した際には、なぜそのクレームが発生したのかを突き止め、原因の究明と謝罪に走ることも
日本人ウェディングプランナーのキャリアパス

私には、何人ものウエディングプランナーの友人・知り合いがいます。
人のために何かしてあげたい、自分は縁の下の力持ちでいい、という心がけの人が多いように思います。
ところが悲しいことに、彼女たちとの会話の中に「キャリアパス」が見えてこない。
ウェディングプランナー達に「次のキャリアステップはなに?」「どんな自分になりたいの?」「将来何をしたいの?」と聞いても
「いつまでこんな仕事を続けるのかしらね」と言葉を濁すのみ。
ウェディンプランナー達は、今取り組んでいるプランナーの仕事が嫌なのではなく
この先どんなキャリアステップアップがあるのかを分かっていない人が多い事実に、私は危機感を感じられずにはいられません。

不幸な事に、ウエディングプランナーのキャリアパスというものは今の日本には存在していません。
日本のホテルにおける婚礼部門の売り上げは、世界の国々のホテルの中では想像もつかないほど大きいといわれます。
ならば、多大な売り上げに貢献する日本のホテルの「婚礼」スタッフも、ホテルの一番の稼ぎ手として重んじられ、どんどん昇進して行くという図はないのでしょうか。
私自身、過去にウェディングプランナーとして働いた経験がありますが、婚礼部は部長がトップで、それ以上の地位になった人は聞いたことがありません。
総支配人になるような人は最初からキャリア採用組で、宿泊や営業部門の方に配属され、ノンキャリア組が婚礼部門へ配属されるのです。
そう、みなさんもうお分かりかと存じますが、そもそもの配属時に用意された「スタートライン」が違うのです。
そして一旦、婚礼の担当になると、潰しがきかないので部門を変わりにくいという現状が待っています。

そして英語ができるだけの(失礼!)例えば副総支配人が婚礼も統括することになるのですが
彼らは婚礼の経験も知識も、婚礼に対する思い入れもないので、結局婚礼部はモチベーションがなくなると言うわけです。
海外ではアメリカのコーネル大学や、スイスのローザンヌ大学を卒業した超エリートが若くして総支配人になるなど、ホテルマンの道は拓けていますが
日本でウエディングプランナーにそのような出世の道はありません。
これはウエディングだけの問題ではなく、ホテルの問題かもしれません。
そもそも海外ではホテルの総支配人(GM))ともなると、その街の名士であり、誰もが憧れる役職です。
しかし日本では総支配人とはいっても給与は一流企業と比べると低いと聞いています。

実は、昔のホテルには「婚礼部」というものは存在していませんでした。
最初は、「婚礼部」というのは、一般宴会を扱う宴会部の管轄で、見様見真似で婚礼を行っていたようです。
ちゃんとした婚礼のプロは存在しなかったのです。
その後ブームに乗り、婚礼がとんでもなく稼ぐようになりました。
いまでも利益率は低いとはいえ、部門利益は約30%はあり、ホテル売り上げに大きく貢献しています。
でも再設備投資に経費がかかると言われ、また無駄な常時常駐人員の費用問題が解決出来ず、婚礼部門は花形部門になり損ねています。
こうした裏の事情をご存知の方は、殆どいらっしゃらないでしょう。
多くのカップルが今でもなお、ホテルでの豪華な結婚式を夢見ますが、そうした華やかな舞台の裏側では想像もつかないような世界が繰り広げられているのです。
ホテルでのウェディングにいる人たちは、このような苦労をしつつも、日々頑張っているのです。