#ウェディングの基礎知識

ウェディングのスタイルはどんどん変わる! 歴史を知って理想の式を考えよう!(4)

元ホテル総支配人 MASATOSHI

元ホテル総支配人 MASATOSHI

ウェディングのスタイルはどんどん変わる! 歴史を知って理想の式を考えよう!(4)

この記事では、今から結婚式を挙げる人が、ウェディングの歴史を知り、心から満足のいく式を叶える為に、元ホテル総支配人の目線からお伝えしています。

ブライダルマーケットの最近の市場規模とウェディング事情

矢野経済研究所の調査によると、日本のブライダル市場規模は2016年は2 兆 5,290億円。
大きな数字ではありますが、2015年に比べると0.7%程下落しています。
リクルートブライダル総研による「婚礼組数予測」をみると、2005年に71万5000組であった全国組数は2010年に70万組、2015年に63万5000組、2020年に59万 9000組に、2025年には57万7000組と減少してゆく予測がある。
その背景にあるのは、まず総人口。
2010年に1億2806万人だった日本の総人口は2030年には1億1662万人、そして2048年には9913万人と推計される。(国立社会 保障・人口問題研究所「日本の将来推計(人口平成24年1月推計)」)

知っ得ポイントリスト
  • 婚礼組数は年々減少している

年々減少する婚礼組数と若者の「結婚離れ」

ウェディングのスタイルはどんどん変わる! 歴史を知って理想の式を考えよう!(4)

驚くことに 「独身生活に利点がある」 と考える未婚者が男女とも80%以上も存在しています。
「一生結婚 するつもりはない」と考える未婚者は男性で12%,女性で8%もいると報告されているのですが、これは女性の社会進出による影響が大きいでしょう。
現代では女性の雇用増加が進み、女性であっても男性に生活面で頼らず自立して生活するということが可能となっています。
そうした社会的背景があいまって、結婚自体を積極的に捉えない未婚者が増えてきているのです。

知っ得ポイントリスト
  • 独身生活に利益があると考え、結婚を躊躇う若者が増えてきている
  • 結婚自体を積極的に捉えない未婚者が増えてきている

ブライダル部門の中でも挙式・披露宴部門の規模が最も高い

ウェディングのスタイルはどんどん変わる! 歴史を知って理想の式を考えよう!(4)

こうした社会的背景を念頭に置きつつ、ブライダル市場に関して考えてみたい。
ブライダル市場は、次の6つの部門に分かれます。
【挙式・披露宴】【ブライダルジュエリー】 【新婚家具】【結納関係】 【新婚旅行】【結婚情報サービス】部門です。
その中で一番規模が大きいのが【挙式・披露宴部門】
ここだけで1兆4000億円以上の取り扱いがあるのです。

しかし、ただでさえ挙式を挙げようと考えている「組数」が減っているのに、その少ないパイを、よりたくさんの施設で喰い合うという厳しい状況が業界の現実としてあるのです。
そうした状況の中で、ホテルの中には婚礼取り扱いをやめたところもあるくらいです。

巷ではより低コストで結婚式を行う「少人数婚」が増えているので件数は伸びてはいますが、その結果1組あたりの費用単価は落ちてきています。
そして、今後はますます、少子化や結婚式を挙げないカップルの増加に伴って婚姻人数は減ると思われるため
市場は縮小することが予想されているのです。

知っ得ポイントリスト
  • ブライダル市場では、挙式・披露宴部門の収益が最も大きい
  • 少ない婚礼組数を多くの婚礼施設で取り合っているという現状にある
  • 少子化や結婚式を挙げないカップルの増加に伴い、今後も婚礼組数の減少が予想される

結婚式情報の取得方法とその時期

ウェディングのスタイルはどんどん変わる! 歴史を知って理想の式を考えよう!(4)

ブライダル業界については、(株)リクルートパートナーズというところから、毎年、ゼクシィ結婚トレンド調査というものが発表されています。
そちらを見ると「式・披露宴をする施設」については、結婚式場・ホテル・ゲストハウスが ほぼ30%前後ずつ。
残りはレストラン、会館、神社などとなっており、結婚式場・ホテル・ゲストハウスを合わせたものが、まだ全体としては大部分を占めているのですが、レストラン等で挙式や披露宴を行う人達も増えてきていることがわかります。

結婚式を挙げる新郎新婦の二人が会場の検討を始めるのが、結婚式当日の平均9.4ヶ月前からであり、8ヶ月前には式場が決定しているという状態です。
結婚式に関して検討する為の情報を何で集めたかと いうと、結婚情報誌が73%で、パソコン47%や携帯26%、その後にブライダルフェア22%などが続きます。
調査対象がゼクシー読者なので、結婚情報誌が圧倒的に強いように見えますが、パソコンと携帯、つまりwebが73%ですでにトップと並んでおり、今後も伸びることは間違いないでしょう。

知っ得ポイントリスト
  • 結婚が決まったカップルは平均約9.4か月前から会場探しを始める
  • 結婚情報誌や、パソコンなど各自で使用できるツールを用いて情報を取得する傾向にある

Instagram等のSNSを用いることも、ウェディングの情報収集の新しい方法となっている

ウェディングのスタイルはどんどん変わる! 歴史を知って理想の式を考えよう!(4)

ウェディング情報を集めるツールとして20代、30代にとりわけ人気なのが「Instagram」などのSNSツール。
特に視覚に訴える力の強いInstagramではウェディング関連の#(ハッシュタグ)を用いて、結婚式を終えた新郎新婦が結婚式の写真を投稿したり、結婚式前にカップルがどのようなウェディングを行うのか検索をする傾向があります。
また、ウェディング施設や衣装屋さんがおのおののアカウントを作成し、ウェディング関連の投稿をするなど、SNSを含めたwebがますます情報検索ツ―ルとして活躍することは間違いがないでしょう。



知っ得ポイントリスト
  • SNS等を用いた情報収集も盛んにおこなわれている
  • 施設側でもSNSを使用し広告、宣伝をする場合もある

今のカップルの式の特徴や傾向は?

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さて、新郎新婦が「どのような挙式・披露宴にしたいか」となると、昔は式の参加者に「退屈させない」「感動させる」「自分らしさを表現する」と答える新郎新婦が多かったものの今では「押し付けのない時間を招待客と共有したい」といったようなニーズに変化しつつあります。

また披露宴では、「BGM」や「花以外を使った装飾」など、招待客が過ごす「空間づくり」に関わる演出が増加しており、こうした昨今のウェディングの動向からも、現代では肩に力が入った演出よりも「自然体」が好まれてきているということが伺われます。

過去の「ハレ婚」の時代はコテコテで豪華な演出が好まれていましたが、今では「ケーキカットもキャンドルサービスも、色直しもスピーチも何もなし。
ただゲストが食事を楽しみ、上質の生演奏がさりげなく流れ、二人がみんなの間を挨拶して回る」というスタイルが目立つようになってきました。

今の若者世代の傾向としては、かつてのように「結婚式は一世の一代のハレの日」であったり「結婚式は自分が主役になれる日」といったように力みすぎない若者が増えてきているように思います。

知っ得ポイントリスト
  • 方に力が入りすぎない、自然体な式をこのむ傾向がある
  • 過去のような派手でセレモニー性の高い式は減少してきている

今でも引き続き人気な演出は?

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昨今でも「ベールダウン」などの親や列席者とのつながりを表現する演出が引き続きで人気となっています。
一方で「ブーケトス」など、列席者を巻き込んだり、場をカジュアルにするといった演出は近年では減少傾向にあります。

2011年の東北大震災の後には 「絆婚」ということばが急に台頭してきました。
辞書で調べると、絆婚とは絆を大切にした結婚のこと。
絆を求めて行う結婚のこと、とあります。
実際に2011年の震災発生後、交際中のカップルが次々と入籍するという現象が見受けられましたが、自分たちの絆を認識し、家族になろうとする気持ちの表れであるといえますね。

震災の影響が薄らいでからもこの絆婚という言葉は残り、特に自分を育ててくれた両親との絆、新しく家族になる相手や相手の両親との絆を深めるという思いが強調されているという風に感じますね。

さて、ウェディング業界の動向を時代とともに追いかけてきましたが、今後、ウェディング業界や人々のウェディングスタイルはどのように変わっていくのでしょうか。
今後、ウェディングのスタイルはさらに変化することが見込まれますが、そうしたスタイルがカップルにとって二人の幸せをもたらすものであれば
ウェディングの形式や、伝統・慣習にとらわれる必要はないのではないのでしょうか。

知っ得ポイントリスト
  • 参列者との繋がりを強調する演出は引き続き取り入れられている
  • 「絆婚」というように、人々との繋がりや絆を大切にする形が好まれている
  • 今後もカップルの結婚式の形は変化することが想定される
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