挙式スタイルはどうなさいますか?と、聞かれたら
元ウェディングプランナー SATOMI
2019.02.18

キリスト教式か人前式かと聞かれて迷わないためのアドバイスを、あまり知られていない裏話も含めて元ウエディングプランナーの私がお教えします!
挙式スタイルいろいろ
挙式は、行う場所とタイミングで種類が色々ある

一般にウエディングのことを「結婚式」と言いますが、正確にはウエディングは「挙式」と「披露宴」に分かれます。
挙式は15分から20分程度のセレモニー。
その後で披露宴という名前のパーティが続く、というのが普通のスタイルです。
挙式のパターン(スタイル)としては、
①挙式(セレモニー)だけを独立して行う。
→後日、会食やパーティをするかしないかは別の話。
②同じ敷地内にある挙式場(チャペルなど)でまず挙式をし、1時間ほどおいて披露宴や会食をする。
→敷地内に式場がない場合、提携しているチャペルなどで式を行うこともあります。
③披露宴会場で披露宴に先立って挙式を行い、そのままパーティに続く
以上3つがあります。
挙式のみ行うのはかえって割高?

それぞれのパターンを説明しましょう。
①の「式のみ」は、海外ウエディングや国内での教会・神社などで行われます。
後日、会食やパーティをするかしないかは別の話。
実はこの場合、全体から見ると、経費は割高です。
数十分の挙式のだけでも、ドレスもヘアメイクも写真もブーケも必要なので、それらが挙式費用に全部乗っかってきます。
②や③のようにパーティを合わせて行う場合、諸々の費用は披露宴に計上され、挙式は8-20万円の挙式料(式場使用料、司式者や音楽奏者、バージンロード脇の装花装飾、式次第、結婚証明書など)だけですが、それにドレスなどがプラスされると結局挙式だけで最低でも50-60万になってしまいます。
ちなみにほとんどのホテルやゲストハウスは、この「挙式のみ」を受け付けていません。
売上が低く、儲からないからです。
契約している衣裳店や写真会社にとっては、仕事は仕事なのでぜひやりたいところですが、料理・ドリンクの提供がないと、ホテルやゲストハウスは儲からないのです。
海外ウエディングの場合、海外にゆく目的の半分が旅行なので、この後は少人数での会食となることが多いです。
国内では、式だけでそれだけかけるのは勿体ないだろうと言うことで、結局フォトウエディングに流れたりします。
フォトウエディングなら、式場がなくても、バックパネルで十分だし、牧師や聖歌隊も要りません。
お花も造花で問題ないし、式次第も必要ない、というかことで安くあがります。
フォトウエディングの金額の格差は、ロケーションとドレスのクオリティでしょうね。
ただし安いはずのフォトウエディングも、打ち合わせをしてみると、データがもらえるカット数が少なすぎたり、アルバムのランクを上げたりで、結局当初の予算ではなかなか終わらないのも事実。

②同じ敷地内にある挙式場(チャペルなど)でまず挙式をし、1時間ほどおいて披露宴や会食をする。
ホテルやゲストハウスはこのパターンが多いです。
現在このパターンが最も多いのは、①に比べて費用的にも効率が良いからです。
そして新郎新婦もお客様も、移動に手間や時間がかからずに挙式と披露宴に参加出来るから。
チャペルと提携していても、衣裳を着たままの新郎新婦の移動は大変ですし、お客様の移動にはバスを出したりと気を使います。
宴会場をたくさん持つホテルなどでは、朝から
9:30 ○○家 チャペルで挙式→10:30会場Aで披露宴 13:30披露宴終了
10:00 ○⬜︎家 チャペルで挙式→11:00会場Bで披露宴 14:00披露宴終了
12:30 △△家 チャペルで挙式→13:30会場Cで披露宴 16:30披露宴終了
13:30 ○△家 チャペルで挙式→14:30会場Aで披露宴
14:00 △⬜︎家 チャペルで挙式→15:00会場Bで披露宴
16:30 ☆☆家 チャペルで挙式→17:30会場Cで披露宴
と言う風に式場と宴会場を組み合わせてスケジューリングして行きますので、勝手に
「私たちは11:00挙式、ゆっくりして13:00披露宴がいいの」と言うわけには行きません。

次に③を宴内挙式と呼びます。
披露宴会場ですから、すでにお客様は丸や四角のテーブルに座っておられます。
会場中央にバージンロードが設定され(実際にカーペットなどを敷くか花やキャンドルで作る場合もあります)チャペルと同じように結婚式が行われます。
プログラムも時間も普通の挙式と変わりません。
挙式が終わると、一旦バジンロードを通って退場する場合と、そのままパーティにつなぐ場合があります。
パーティに移行する場合は、雰囲気を変えるために式の最後に乾杯などを行う場合もあります。
また、一旦退場する場合は、控え室で新婦のベールを外し、パーティらしく装い直して再入場します。
費用的には②から挙式場の使用料や花の装飾費を節約出来ます。
宴会場が広いと、チャペルよりも長いバージンロードを確保できる場合もあります。
誰に誓うかによって異なる挙式スタイルの違い
同じ神様でもいろいろある
今説明した①②③どれをとっても、それぞれに「神前式」「仏前式」「キリスト教式」「人前式」などがあります。
大きく言えば、「誰の前で愛を誓うのか」が違います。
神式では、日本古来の結婚観に基づいて、結婚は「家と家の結びつき」であると考えられています。
神官さんや巫女はその縁結びをする役目です。
家と家の行事ですから、誰でも参列できると言うわけではなく、式場の椅子席数も多くはありません。
三三九度の盃なども、家と家が絆を結ぶことを象徴した儀式です。
仏前結婚式は、「2人の結婚は前世からの因縁であり、先祖の慈悲によるもの」という仏教の教えに基づいて執り行われます。
仏様とご先祖様にその「因縁」を報告し、感謝の気持ちを伝えて「来世までの結びつき」を誓います。
現世での結びつきだけでなく、来世まで誓い合うのがすごいですね。
また、「誓いの言葉」がないのも特徴ですが、仏前式のお坊さんの衣裳や飾り付けは、絢爛豪華で美しいと言われます。
キリスト教式では結婚は家族ではなく、二人の結びつきです。
キリストの前で、お互いを一生愛することを誓います。
バージンロード、ベールダウン、指輪交換など、結婚式、という言葉でイメージされるシーンは、だいたいキリスト教式のものなので、皆さんよくご存知だと思います。
また神式と違って、出来るだけたくさんの人に祝福していただこうという趣旨があるので、チャペルには立ってでも多くの人が入ることが出来ます。
ロビーでの挙式が行われるのも、そのせいですね。
最後に人前式は神様ではなく、参列者の前で愛を誓うスタイルです。
キリスト教徒でもない日本人がなぜキリスト教結婚式をするのか、という批判から生まれた無宗教の儀式です。
二人はお互いの決意を「誓いの言葉」で述べ、それを見届けた参列者に異議がなければ結婚は成立です。
司式をするのは披露宴の司会者が最も多いのですが、人前式の中にシビルウエディングと言うものがあります。
キリスト教式の牧師に変わる「シビラントという司式者」が式を進行します。
司会者がするより厳粛なムードを目指して作られた役職で、業界の協会が資格試験を行って認定証を出しています。
進行はキリスト教式から「賛美歌」「聖書朗読」「お祈り」などキリスト教に関わるパーツを抜いたものです。
キリスト教式と人前式、どちらがどうなの?
カトリックとプロテスタントの違い

みなさんが一番迷うのがキリスト教式と人前式ではないでしょうか?
この2つについて書きます。
キリスト教式は、宗派によってカトリック式とプロテスタント式に分かれます。
古くからの宗派カトリックはあまりに戒律が厳しく、聖職者は結婚もできないほどであったため、それに反発して出来た宗派がプロテスタントです。
カトリックでは結婚は神の定めた宗教行為であり、信者が自分の所属する教会で式をするものです。
だからカトリックの神父は、信者でもない二人の結婚式をホテルのチャペルでは決してしません。
また離婚は認めていないため、再婚の人は無理です。
プロテスタントでは「牧師が聖書を持って出かければどこでも式が出来る」と考えます。
だからホテルやゲストハウスでするキリスト教式は、原則として全てプロテスタントなのです。
式の進行もシンプルなプロテスタントに比べ、儀式的で壮大なのがカトリックです。
バージンロードの色も赤、神父のガウンも結構派手です。
その華やかさに惹かれて、「カトリック式でやりたい」という新郎新婦がいますが、これは無理な話なのです。
プロテスタント式の進行は、
新郎入場
新婦(と父入場)
賛美歌
祈祷
聖書朗読
説教
誓約
指輪の交換
ベールアップとキス
署名
宣言
頌栄(賛美歌)
祝祷
新郎新婦退場
これがだいたいの基本で、場所により少しずつ変わります。
人前式の良いところ、残念なところ
先ほども書いたように、人前式はキリスト教式からキリスト教っぽいものを除いた進行です。
しかし上記のキリスト教式の式次第を見てください。
この中から賛美歌、聖書朗読、説教、祈祷、宣言、祝祷を除くと、こうなります。
新郎新婦入場
誓いの言葉
指輪の交換
ベールアップとキス
署名
新郎新婦退場
「これだけ?」って思いませんか?
そう、人前式の残念なところは、そこなのです。
シンプルにも程が有る、というか。
下手をすれば5分で終わります。
それで、引き伸ばすために、キリスト教式でもやっているベールダウンや、キャンドルのセレモニーや、リングリレーなど数々のセレモニーが挟まれルこともあります。
キリスト教式と人前式では、同じ式次第でも中身が違います。
ひょっとしたら皆さんは、新婦とお父さんが腕を組んでバージンロードを歩き、新郎にバトンタッチするシーンをイメージしていませんか?
あれは本来キリスト教式のシーンです。
人前式では父と入場をする場合もありますが、新郎新婦入場が基本です。
誓約のシーンで
「あなたはこの女性を妻とし、富めるときも貧しいときも・・・・命の限り愛し続けることを誓いますか?」
「はい、誓います」というイメージを持っていませんか?これもキリスト教式です。
人前式では普通、二人が声を揃えて
「私たちは今日ここに結婚をし、協力し合って暖かい家庭を築くことを約束します。平成○○年○月○日 新郎 ・・新婦・・」というような誓約文を読み上げます。
最後に人前式は司会者が仕切りますが、これは牧師と同じ役割ではありません。
司会者は進行するだけなので、お二人に「誓いますか?」と聞く権限がないのです。
人前式の強みは、費用が安く上がることです。
司会者は披露宴も司会をすることがほとんどなので、結婚式の時間延長分がほんの少し加算される程度です。
賛美歌を歌わないので、聖歌隊やオルガニストもマストアイテムではありません。
何もないと少し寂しいので、生演奏などで雰囲気を盛り上げると良いですね。
それに比べるとキリスト教式の強みは、まず絵になること。
やはり牧師や聖歌隊、チャペルの十字架や聖書など、写真やビデオに残す場合に映えます。
そして、司会者ではなく、牧師が司式をする事によって、披露宴とは異なる「挙式」のピリッとした雰囲気が醸し出せます。

今日お話ししたのは一般的な事で、必ずしもこの通りでない場合もたくさんあります。
挙式は時間は短くても婚礼の中で最も大切なものです。
あなたの大切な挙式を最高のものにするために、基本を理解し、自分たちのベストを考えましょう。