#ウェディングの基礎知識

ウェディング業界、誰が儲かっている?

元ホテル総支配人 MASATOSHI

元ホテル総支配人 MASATOSHI

ウェディング業界、誰が儲かっている?

ウエディングでは誰がどれくらい儲かっているのか、意外なお話です。

ウェディングの広告媒体ではゼクシィが一人勝ちしている

ウェディング業界、誰が儲かっている?

「ゼクシィ」の登場した時代背景と発展

ウエディング市場で一番儲けているのではないかというくらい、業界一人勝ちの媒体がゼクシィである。
1993年に創刊されてから数年は「いかに結婚費用を安くするか」というテーマに関しての記事が多く
当時、何とかしてウェディングの総費用を吊り上げようとする施設側とは相対峙していた。
それが故に、ゼクシィの読者には拍手喝采で受け入れられたのだった。

そんなゼクシィの売り上げの全国的な飛躍には、テレビCMの力が大きい。
2004年に加藤ローサ出演のCMに流れた「パパパパーン」は僕でも新鮮に感じたものだ。
その後「一生モノの結婚」という言い回しや、樹木希林や黒柳徹子を起用した作品、木村カエラや福山雅治のヒットソングを取り入れたりと
さすがリクルートと言いたくなるほど、ゼクシィを売り出した戦略は「上手かった」。
ゼクシィは長年、雑誌媒体として頑張ってたが、1998年には「ゼクシィネット」を世に出し、その後ゼクシィなびという名前の式場紹介カウンターを設けた。
そもそもエージェント業に対抗した形で雑誌を創刊したのに、いつの間にかエージェント業にも参入したあたりが、実にしたたかだ。

ゼクシィがやめられない理由

式場がゼクシィへ掲載をしようと思えば、その掲載料は1ぺージ数十万円にも上るということだ。
ゼクシィにそれ程の費用対効果があるのだろうか。それはあるかもしれないし、無いかもれない。
ただ、誰も『ゼクシィをやめても集客を落としませんから掲載を止めましょう』とは言ってこなかった。

なぜゼクシィはそれほどにも強いのだろうか。
競合はないのか。
ゼクシィにとって、ホテルや施設というのは『鎖に繋がれた象』だという人もいる。
小さい時から鎖に繋がれて育った象は鎖がなくなっても逃げ出すことはできないのと同じなのだ。
ウェディングの媒体としては、サンケイリビング社の『レイ・ウエディング』やハートス婦人画報社の『25ans(ヴァンサンカン)ウエディング』などがあるが、どれもゼクシィの敵にはなれない。
なにせ、売れてる数が違うのだから。

ゼクシィはあれだけの情報量で、数百円程の価格なのだから、カップルにとっては結婚が決まったらとりあえず買っておけば安心だという、百科事典的な存在になっているのだろう。
そんなゼクシィには資料請求機能があり、それが格好の消費者アンケートにもなっている。
どこの会場の資料請求が多いか、人気の施設の広告はどんな風か、などホテル担当者が喉から手が出るほど欲しい情報をお土産にゼクシィの営業マンがホテルや結婚式場などの施設に営業にやって来るので、そうした施設はゼクシィとの契約を辞めないのである。

ゼクシィの未来図

世の中これだけIT化が進んでいるが、ゼクシィという紙媒体が何にも取って代わられないのはなぜだろう。
それに「ゼクシィもゼクシィネット」というweb媒体を持っているが、特に画期的なweb機能があるわけでもなく、ただ紙のデータをwebにして検索機能を重視しただけだ。

あれほどの先進的な会社だから、その気になれば時代にマッチした新しいシステムを作るのは簡単なはずだ。
それでも、撃って出ないのは、web化を出来るだけ遅らせて、紙で稼げる間は稼ぎ続けようという作戦か。
それともウエディングという世界がまだまだアナログだと考えているのだろうか。
昔ゼクシィがやったように、全てを大衆化してしまった時に何か不具合があると考えているのだろうか。

引退した身には関係ないことだが、ふと考えてしまう今日この頃だ。

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