ブライダルフェア開催にまつわるお金の裏話
現役ブライダル企業 部長 CHIKARA
2019.02.17

華やかなブライダルフェアにはどれくらいお金がかかるのだろうか?
そんな謎を現役ブライダル企業の部長がお話しします。
ブライダルフェアとは?
ブライダルフェアでは何をするの?
ウェディングでは頻繁に耳にする「ブライダルフェア」という言葉。
ブライダルフェアは一般的には「内覧会」とも呼ばれ
結婚式場の挙式会場や披露宴会場の雰囲気を新郎新婦が事前に知ることが出来るようなイベントになっています。
ブライダルフェアでは、模擬挙式や模擬披露宴などのデモンストレーションを見たり
当日のお料理を、新郎新婦やそのご家族が事前に食べて確かめられる『試食会』が企画されていたりします。
そして、女性にとっては特に心が躍りますが、ブライダルフェアの当日に、実際に気に入ったドレスを着用できる『試着会』があるなど
結婚式本番さながらの雰囲気を体験出来る仕組みになっています。
パンフレット資料や写真を見せられるよりも、本番さながらの雰囲気に足を運んだ方が気分も高まりますよね。
来場者に、実際の式の様子を体験させるのがブライダルフェアの目的なのです。
ブライダルフェアには「成約者対象」
「新規対象」の2種類が用意されている!?

「成約者」には単価アップを提案「新規カップル」には成約を狙う
ブライダルフェアが『いつ行われているのか』というと
大きなブライダルフェアは年に2回、1、2月の冬場と7、8月の夏場の仏滅や赤口など日の悪い日曜日に開催されることがほとんどです。
縁起が悪いとされるそうした日には、実際の式が予定されておらず会場が空いていることと
新郎新婦の二人ともの仕事が休みで参加できる日曜日を選んでいるというわけです。
ブライダルフェアには、施設が用意するブライダルフェアが「成約者対象」と
「新規対象」の2種類存在することあることがあるということを知っておく必要があります。
「新規対象のフェア」は、契約を取ることが目的。
ひたすらその式場の良い点をアピールし、ホスピタリティ溢れる接客に努めます。
「成約者対象のフェア」すなわち、もうその施設で式を挙げると決めていて、ブライダルフェアに参加しているカップルへは『単価アップ』を提案します。
既に決まっている式の予定にプラスして新しく発注を増やしてもらったり、商品のグレードを1ランクアップしたりするのです。
一回のブライダルフェアで動く「お金」のはなし
フェア開催にはどんな費用がかかるのだろうか

ここで、ブライダルフェアの広告費用に関してお話しましょう。
ブライダルフェアでかかる費用は
・会場設営費(会場の飾り付け、看板、舞台など)
・お客様に提供する食事などの原価
・広告宣伝費(雑誌や広告など)
・イベント費(ショーやアトラクションなど)
・人件費(アルバイトも入れなければ賄えません)
などです。
式場は高額な費用を全部自社でまかなうことはしませんし、出来ません。
ほとんどが協賛、つまりブライダルフェアに参加するテナントにお金を出させることで賄っているのです。
その額は1社あたり、大きな幅がありますが、5万から100万というところだと言われています。
テナントの立場から考えるブライダルフェア

式場も大出費だが、テナントも負担が大きいブライダルフェア
では、この費用を一部負担するテナント側から見てみましょう。
例えばドレスです。
ブライダルフェアには、衣裳テナントも、自社でスペースを設けて、保有しているドレスを来場者に見せたり、試着させたりします。
そのブース料はもちろん、展示したドレスのクリーニングや、カタログ作成などは全て衣裳屋負担です。
ファッションショーがあれば、無料でドレスを出し、ホテルによってはモデル代も衣裳屋負担です。
花屋はもっと大変です。
フェアの前日から会場中に花を本番さながらに飾り付けなければなりません。
お客様の興味を引くためには普通のランクではなく、最上ランクの飾り付けが望まれますので、費用が莫大にかかります。
もちろん費用は花屋が100%から70%負担します。
音楽会社には「弦楽四重奏」や「外国人シンガー」など、華やかな高額商品の提案が求められます。
このような高額商品は雰囲気を高めても、実際には売れないことが多いのですが、「商品の提案の場」とされて料金は支払われないことが多いようです。
司会や音楽の相談コーナーには、丸1日相談スタッフが座っていなければならないのですが、ほとんどお客様は立ち寄りがありません。
司会会社はスタッフが間に合わないと司会者を座らせますが、司会者には交通費程度の支払いしかできない場合が多いようです。
全てのテナントが多かれ少なかれ持ち出しで参加し、その上で「出展料」や「協賛金」の請求が来るという具合です。

テナント協賛はどのようにして決まるのか
ブライダルフェアの前には、だいたいテナントを集めて式場側が「説明会」を開きます。
次のビッグブライダルフェアではこんなコンセプトでこんなイベントをしますのでよろしくね、という訳です。
説明は短時間で終わり、お帰りには協賛金の請求書が入った封筒を渡されます。
協賛金にはお願い、と書いてありますが、これはお断りできません
式場とテナントはチームであり、みんな一丸となってブライダルフェアを成功させましょう、と言うことですが
フェアの内容やかかる費用の妥当性に関して相談はありません。
そしてお願いが強制でない印に、協賛金の額を自社で記入して送れと言われたりしますが、額はすでに決まっていてお知らせされるのです。
協賛金と言う名目がまずいので、出展料となる場合もあります。

先程もお話ししたように、大きなブライダルフェアというものは年に2回程度開催されています。
しかしイベントカレンダーを見ると毎月、もっと言えば、毎週ブライダルフェアを行っている施設が多くあるのです。
施設としては何とかイベントを企画してお客様に来ていただくきっかけを作らないとどうしようもないので、ミニフェアとか見学会とかをいくつも開催しているのです。
ミニであれ、フェアを開催するという事は、経費もかかってしまいます。
しかし、施設はそうした経費分をほとんどテナントからの協賛で賄います。
ただでさえ、婚姻数が減ってきている昨今、毎週のように開催されるブライダルフェアに対し、十分な予算を取れないのです。
そして資金調達のためもあり、式場は一つの業種に複数のテナントを抱える傾向があります。
同業他社が増えると、テナントは協賛金や無料協賛への不満を口にしにくくなります。
このように一見華やかで楽しいように見えるブライダルフェアですが、式場もテナントも資金面での問題を抱えているのです。
式場とテナントは一蓮托生。本当の意味の共存共栄のラインはどこで引かれるべきか、見直してみる必要があるのではないでしょうか。
テナントは協賛金の他に、現物協賛もしており、回数が多いとかなりの負担になる。
しかし式場に営業を依存しているため、契約を維持するためにも協賛は断れず、発注数が減ると非常に苦しい立場になる。